三和マネジャー・荻野佑基 障害に負けず練習支援 「13年ぶり」勝利に涙
三和のマネジャー、荻野佑基(3年)は、小児まひで右半身が思うように動かない。それでも、自らができることを懸命に探し、練習をサポートしている。
1年生の時だ。何げなく間中大介・前監督(36)とプロ野球の話題になった。前監督は「野球好き」を見抜いた。入部を勧められた。だが、踏み出せない。「障害があるから野球はできない」と断った。
転機は2年生の5月にあった球技大会。クラスメートに「走るのを代わってあげるから打ってみないか」と提案された。安打が出た。その様子を前監督が見ていた。「走ることやボールを打つことだけが野球じゃない。マネジャーとしてバックアップすることも立派な野球なんだぞ」
気持ちが動いた。「挑戦してみよう」。入部を決断した。
それまでは肌が焼ける場所からは遠かった。でも、グラウンドの草取り、球出し、球拾い…。すっかり顔は選手同様焼けた。
荻野の入部でチームの雰囲気もさらによくなり、より熱心に練習に取り組むようになった。チームメートたちは「つらいときに励ましてくれる大切な存在」「何事も一生懸命で、支えてくれる優しい先輩」と口をそろえる。大月忍監督(45)は「障害に負けていない。献身的にチームを支えている」と信頼を寄せる。
父政幸さん(65)は「『障害があるから』と諦めてしまうことがあったが、(入部で)精神的に強くなった。最後まで諦めないでやり通す力を養えた」と喜ぶ。
12日の1回戦は、先月ボール運びの際につまずき、右足首を骨折したため、車いすに乗って、県営球場本部席隣の部屋で懸命に応援した。7-7で迎えた八回表の攻撃。仲間が2点を勝ち越すと、両手を懸命に動かし、割れんばかりの拍手を送った。
間もなくして、仲間が夏の「13年ぶり」勝利を決めた。あふれる歓喜の涙。タオルで顔を覆った。「感無量。本当に一生懸命プレーしてくれたみんなに拍手を送りたい」
戦いは続く。18日は鬼怒商に挑む。「次もみんなで一致団結して頑張りたい」と闘志をみなぎらせた。