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《連載:2025 暮らしと茨城県予算》(2) 地域移行どう定着 部活動、人材確保推進へ

指導者にアドバイスを受けながらバレーボールの練習に励む生徒ら=つくば市みどりの南
指導者にアドバイスを受けながらバレーボールの練習に励む生徒ら=つくば市みどりの南


「一つずつできるようになっていく成長を見守るのが何より楽しい」

地域クラブ「みどりのSCC」(茨城県つくば市)で女子バレーボールを指導する水上花野さんは、練習に打ち込む中学生を見守る。

部活動の地域移行に当たり、同クラブを担当。自身の競技経験を生かし、基本的な知識から技術面まで幅広く指導する。所属する13人の生徒はほとんどが初心者。「競技が楽しいと思ってもらえるような指導を心がけている」

部活動が始まるのは平日の夕方から。男子バレークラブでコーチを務める丸山祥二さんは、他の仕事と両立しながら時間をやりくりして指導に当たる。「本業との兼ね合いで時間の融通が難しい人もいるのでは」と話す。

他の仕事を持つ指導者も多く、一つのクラブで長く続けられないことも。「たびたびコーチが交代してしまうことへの生徒への影響も心配だ」と語る。


本年度、茨城県は地域移行の重点地域に選ばれ、県内では5市が先導的に実践している。

つくば市は1月時点で、市全体の約20%が休日の部活動を移行した。2026年には休日に部活動を行う教員をゼロにする計画だ。さらに市立みどりの学園義務教育学校と市立みどりの南中の2校は、平日も移行した。

指導者を確保するため、市は筑波大と連携し、アスリート人材の活用に取り組んできた。市教委によると、学生が就職して活動できなくなるケースもあり、「必要な人材を確保し、指導体制をどう継続させるかが課題」と指摘する。

地域クラブの受け皿の増加に伴い、活動施設の確保や、参加にかかる保護者の負担軽減などにも対応する必要があるという。

県は新年度、教員負担の軽減や生徒のより良いスポーツ環境整備などを目指し、地域移行をさらに後押しする。県によると、本年度、県内で移行に向けた取り組みを進めているのは計36市町村、563部(全体の26.8%)。25年度には計41市町村、1104部(52.6%)に上る見通し。

推進に向け、県は新年度予算に実証事業として2億4500万円を計上している。今年1月時点で427人が登録している県地域クラブ活動人材バンクの登録者数の拡大や周知活動などに充てる。

指導者を対象にした研修会を開いたり、民間事業者と共同で研修用教材を作成して市町村と共有するなど、人材育成にも力を入れる。

また、県立高でも地域クラブによるスポーツ活動の実践事業を実施。中学校だけでなく高校での移行も探る。部活動支援として、スポーツ医科学の専門家であるアスレチックトレーナーの派遣も行う。

地域や学校規模、競技の種類などによって、求められる能力や指導方法は幅広い。県教委の担当者は「課題共有をしながら市町村と連携して移行を進めていきたい」と話す。



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