次の記事:路上で暴れる男性、警察官4人で制止 容体急変し搬送先で死亡 茨城・阿見 

《連載:鉄路とまち TX20年》(5) 設備投資へ資金調達 老朽化、一斉に交換時期

沿線のまちづくりへの期待感を示す首都圏新都市鉄道の渡辺良社長=東京都千代田区のTX秋葉原駅
沿線のまちづくりへの期待感を示す首都圏新都市鉄道の渡辺良社長=東京都千代田区のTX秋葉原駅


つくばエクスプレス(TX)が開業から24日で20年を迎えるのを機に、運行する首都圏新都市鉄道(東京)の渡辺良社長(64)が、中長期の経営方針を語った。TXが多額の設備投資が必要となる「第二の開業」段階にあるとし、初めて金融機関から資金調達を行うとの見通しを明らかにした。茨城県民が「主役」となり、TX沿線のまちづくりを行うことへの期待感も示した。


「TXは全線一斉開業したため、設備も一斉に交換時期を迎える。『第二の開業』と言うべきか、相当規模の設備投資が必要な状況だ」

開業から20年を迎え、車両やレール、電気設備などの老朽化が進む。さらには同時進行で「8両化」に着手。2030年代前半の供用開始に向け、車両増備や各駅のホーム延伸工事、総合基地の整備に多額の費用を計上する。

いずれも安全性や利便性の維持向上に欠かせない事業といい、25~29年度の設備投資費は660億円を見込む。

鉄道建設・運輸施設整備支援機構への債務残高は約4千億円。「運賃改定もお願いしているが、金融機関からの資金調達を図る時期が早晩出てくる」と見通す。金融機関の審査に備え、経営の効率化を強化する必要性があるとの認識だ。

同社は今後、TX沿線のブランド価値を高めるために「地域共創」に乗り出す。

「駅機能のあり方」を議論する勉強会を昨年初めて開催。つくば駅構内や周辺を点検して課題を抽出した。7月に発表した「長期ビジョン」を作成する際には、各都県ごとに意見交換会を開いている。

たどり着いた理念が「TXコラボリング」。同社が事務局となり、自治体や企業、研究機関などで組織する共同体を駅単位で発足させる。地域のイノベーション創出に貢献するほか、駅や高架下の利活用を通じ、沿線のまちづくりに協力する。

「TXを一番利用されている茨城県民の方に主役として活躍していただきたい」と期待を込める。


長期ビジョンでは、東京駅延伸を巡り、延伸した場合の社会経済的な効果を調査する方針を示した。調査は民間会社に委託し、今秋以降に始める。期間は約1年という。

東京駅延伸を巡っては、国の交通政策審議会が「TXの東京-秋葉原間延伸」「延伸と臨海地下鉄の一体整備」を答申に盛り込んでおり、相互実現の動きが本格化している。昨年12月には沿線11市区が期成同盟会を設立した。

ただ、肝心の費用負担については、沿線自治体などの議論が進んでいない。

「期成同盟会が設立されたのは、今までにない大きな動きだ。(今回の調査で)東京駅まで延伸する効果を理解いただくことで、機運の醸成にもつながるだろう」

TXは沿線のまちづくりをけん引する。



茨城の求人情報

https://cpt.geniee.jp/hb/v1/207318/39/instbody.min.js" \n
\n
-->