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【茨城県政とくらし ’25知事選】 (2) 《連載:茨城県政とくらし ’25知事選》(2) 外国人材 労働力不足解消への鍵 定着に力

制御盤の設計に携わるアリフ・アクバル・プテラ・バラタさん=常陸太田市小目町
制御盤の設計に携わるアリフ・アクバル・プテラ・バラタさん=常陸太田市小目町


「仕事をやればやるほど、まだできない部分が分かる。もっと知識を付けていきたい」。電気設備工事のセイキョウ(茨城県日立市)で制御盤の設計に携わるアリフ・アクバル・プテラ・バラタさん(28)はインドネシア出身。日本の大学院を卒業後、2022年に同社に入社した。

日本で生活して5年ほどたつ。茨城県は「交通(の便)は大変だが、生活費は安い」。日本人の同僚と日本語でコミュニケーションを取るが、礼儀や食事など「マナーに慣れるのが大変」と笑う。

同社はベトナムで開かれた「ジョブフェア」参加を機に、7年前から外国人を採用し始めた。最近は直接応募してくる外国人も増え、多い月には10人ほどの申し込みがあるという。鈴木孝昌社長は「(外国人の受け入れは)賛否両論あるかもしれないが、もう日本人だけで経済は回せない」と言い切る。その上で「(外国人が)日本で働きたいと思う環境を整えることが必要」と力を込める。

民間信用調査会社のまとめによると、正社員不足を感じる県内企業の割合は53.2%(今年4月時点)。建設や運輸・倉庫をはじめ、あらゆる業種で人手不足感は高止まり傾向にある。

しかし、働き手の中心となる15~64歳の生産年齢人口は減少の一途をたどる。総務省の人口推計によると、昨年10月1日時点で県内の生産年齢人口は163万7000人となり、10年前に比べ15万2000人減った。

労働力不足を解消するため、県は外国人材の受け入れや育成、定着に力を入れている。

19年に開設した県外国人材支援センターは、外国人の受け入れについて専門家が企業のニーズに寄り添いマッチングなどを行う。24年には「働く」「住む」「学ぶ」の3分野計14指標から算出する外国人版「いばらき幸福度指標」を導入。「外国人から選ばれる県づくり」に向け、施策の充実と強化を図ってきた。

近年は高い知識や技術を持つ高度人材の受け入れを加速。理系分野や語学に強いインドに注目し、県は現地の大学と連携して日本語学校を開校したり、県内企業でのインターンシップを開いたりしてきた。世界最多約14億人の人口を誇るインドで若者の就職難が課題となる中、学生のうちから茨城県への就職を意識してもらう狙いだ。

デジタルトランスフォーメーション(DX)事業や工業塗装を手がけるヒバラコーポレーション(同県東海村)は、今年6~7月にかけ、インド人学生2人をインターンとして受け入れた。小田倉久視社長は「日本人の採用が難しくなっている」と理由を明かす。

学生2人は排水の色検知システム構築などに携わった。大学の専攻と業務内容が合っており、学生たちの能力の高さに小田倉社長は好感触を得た。一方で課題も浮き彫りになった。「役割や評価をより明確にする仕組みづくりをしないと、彼らの力は発揮できないし、相乗効果も生まれない」



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