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【31年目の奇跡 J1水戸誕生へ】 (4) 《連載:31年目の奇跡 J1水戸誕生へ》(4) 選手育成、高まる評価 アツマーレで環境向上

練習拠点「アツマーレ」で技術を磨く水戸ホーリーホックの選手たち=城里町小勝
練習拠点「アツマーレ」で技術を磨く水戸ホーリーホックの選手たち=城里町小勝


サッカーJ2水戸ホーリーホックは、選手育成型クラブとして評価を高めてきた。日本代表の前田大然(スコットランド・セルティック所属)を筆頭に、これまで多くの若手の有望株が水戸できっかけをつかみ、世界に羽ばたいていった。

選手育成の環境はこの10年で劇的に変わった。その象徴が、茨城県城里町小勝の旧七会中校舎と校庭を活用した「アツマーレ」だ。当時、ゼネラルマネジャー(GM)だった萩原武久顧問(81)がドイツのスポーツシューレ(学校)を参考にした施設で、町が約3億8000万円を投じて改修した。2018年に開場。天然芝のピッチ2面や屋内トレーニングルーム、食堂などを完備する。

従来の拠点だった同県水戸市水府町の「ホーリーピッチ」は雨で浸水して使えなくなることがあったため、練習環境は格段に向上した。廃校を利用したクラブハウスはJリーグ初の取り組みで、同年から条件付きでJ1クラブライセンスが交付された。萩原顧問は「選手にとって全てができる施設が完成し、クラブは軌道に乗った」と胸を張る。

育成型のクラブとして評価を高め、選手から選ばれる基礎をつくったのは、19年に強化部長から昇進した西村卓朗GM(48)だった。「やはり(獲得)競争の中にいるので、差別化は大事」と複数の強化策を取り入れた。

その一つが独自の人材育成プログラム「メイクバリュープロジェクト(MVP)」だ。選手を対象に週1回、年間約20~30こまの講座を開設。さまざまな業種の専門家を招き、日々の業務について面談や講演を行う。プログラムのテーマは「多様性と交流」で、選手だけでなくチーム強化につながる効果があるという。

日本代表に選出された小川航基(オランダ・NECナイメヘン所属)や伊藤涼太郎(ベルギー・シントトロイデン所属)もアツマーレ育ちだ。水戸は23年、ドイツの伝統クラブ、ハノーバーと育成業務提携を結び、複数の若手選手をドイツに送り出してきた。最近は水戸から直接、海外のクラブに移る仕組みも出来上がりつつある。

今季最終節の先発メンバーは半数以上が新加入。近年、残留争いに苦しんだ水戸のJ1昇格と優勝は、移籍組による即効性に支えられていた。得点した多田圭佑と山本隼大が大卒1年目だったように、クラブは即戦力の有望株に選ばれるようになった。ある大学の指導者は「最近は学生たちの水戸を見る目が変わったし、安心して送り出せるクラブになった」と語る。

ただ真の育成型クラブになるのはこれからだ。これまで中高生年代のユースからトップチームに昇格した選手は10人と多くない。萩原顧問は語る。「水戸で生まれ育った選手をプロに引き上げ、活躍させる。そこで初めて育成クラブと呼べる。まだまだ目標は道半ばだ」



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