《連載:暮らしと’26茨城県予算》(3) 救急病床確保を強化 転院搬送の円滑化を支援
「病床稼働率は100%を超す。救命病床は、既に入院中の患者のうち誰を安全に一般病棟に押し出せるかというレベルで運用せざるを得ない」
茨城県土浦市の土浦協同病院は県内屈指の救急搬送受け入れ実績がある。2024年は県内最多の8540件を受け入れた。
このため病床の逼迫(ひっぱく)が常態化。新たな患者を受け入れるため、状態が安定した患者は一般病床に移ってもらう。遠藤彰救命救急センター長は「それでも回らない」と厳しい現状を話す。
集中治療室(ICU)をはじめとした急性期病床32床を時間単位で管理。端末のほか、独自のアプリを活用して医療スタッフが空き状況を把握する。併せて周辺の医療機関や介護施設などに空き病床がないか、転院を調整するシステムや電話などで入念に確認する。
ただ、転院先も空き病床は限りがある。退院支援看護師の柳橋貴子看護副部長は「本当は1週間で転院させたい患者が、現状は3週間~1カ月かかっている」と声を落とす。
高齢化社会の進行に伴い、県内では今後も救急需要の増加が見込まれる。県医療政策課などによると、24年の県内救急搬送は14万5187件。5年前の20年と比べて32.1%増えた。
救急車の到着後も搬送先がすぐに決まらない「救急搬送困難事案」は同年比3.2倍の9550件。「救急隊が医療機関に受け入れ可能かどうか10回以上照会したり、搬送開始まで1時間以上かかったりした事例もあった」と、同課の担当者は話す。
地域の中核医療機関が安定的に救急搬送を受け入れる環境をつくるには、先に一時治療を終えた患者の回復をサポートする「後方支援医療機関」へ速やかに転院する必要がある。
これまで県は転院搬送を調整するスタッフの人件費補助や、後方支援医療機関へ一斉に転院を依頼できるシステムを開発してきた。だが、依然として患者の「目詰まり」は未解消のままだ。
救急病床の確保に向け、県は後方支援医療機関への財政的支援に乗り出す。
県が指定する医療機関が適切な病床管理により受け入れ態勢を整えた場合、中核医療機関の入院日数に応じて補助金を交付する。4日以内での転院の受け入れで1件当たり3万円、14日以内で1万円を補助する。
熱中症の搬送が急増する7・8月と感染症が流行する12・1月の計4カ月間は、25医療機関に各1床の空き病床確保を委託。1日当たり1万7000円の補助で、転院の円滑化と救急受け入れ態勢の強化を図る。
県医療政策課は支援を通して「中核が急性期、後方が回復期の役割分担の推進にもつなげたい」と期待を込める。遠藤センター長は「期待する効果を出すには、後方支援側が救急患者を受け入れた病院から数日以内に転院を受けるようなスピード感を理解する必要がある」とし、県に現場への丁寧な説明を求めた。











