【いばらき 減少時代を生きる】 (第4部 防災(3)) 《連載:いばらき 減少時代を生きる》第4部 防災(3) 建設業 守り手確保 選ばれる4Kに
「防災や生活を支えるインフラ整備に携わる充実感は大きい」
茨城県大子町内を流れる久慈川で護岸工事が進む。2019年、東日本台風で水害が発生した場所だ。現場監督を務める堀江拓実さん(25)は日々変わる風景を見ながら、やりがいを感じている。
同県常陸大宮市出身。昨春、茨城大工学部を卒業し、株木建設(同県水戸市)に入社した。子どもの頃に東日本大震災を経験。その後も地震や大雨の災害が各地で頻発する中で、「強いインフラで社会に貢献したい」と土木技術職を志した。
現場監督は工程や作業員の安全管理などを担うマネジメント役だ。出入りする協力業者らの多くは年上の先輩たち。積極的に声をかけ、分からないことがあれば素直に学ぶ。意思疎通を心がけ、作業の安全と円滑化に務める。
こうした気概を持つ若者が集まる企業がある一方、業界全体では人手不足に歯止めがかからない。帝国データバンク水戸支店が3月に発表した「人手不足に対する県内企業の動向調査」では、不足していると回答した企業の約7割を建設業が占めた。
国勢調査などによると、県内の「建設業就業者」は2020年時点で約10万3千人。この15年間で約3割減っている。年齢別に見ても、45歳未満の若い世代は減少傾向で推移し、高齢化が進む。
「きつい、汚い、危険。いわゆる3Kのイメージが先行してきた」。543社(昨年10月現在)が所属する県建設業協会は、少子高齢化という構造的な課題に加え、固定化された印象を業界に人が集まりにくい理由の一つに挙げる。
働き手の不足は防災力強化に向けたインフラ整備、災害復旧などにも影響を及ぼしかねない。同協会では従事者を「地域の守り手」と強調し、危機感を募らせてきた。
打開策として同協会が行うのは、小学生の親子から大学生を対象とした現場見学会や、丸太切りや重機体験ができる「建設フェスタ」などの催しだ。建設業に触れる機会を提供し、あらゆる世代に関心を促してきた。
働き方改革の面では、4月に適用となった建設業の時間外労働の上限規制を踏まえ、労働環境を改善。19年度に「県内公共工事一斉休工日」を設定し、23年度には毎月全ての土曜を休工日とした。
企業も工夫を凝らす。株木建設では数年前から、全社員が採用活動できるよう「リクルーターマニュアル」を作成。一人一人が会社の魅力を理解し、学校訪問やインターンシップ(就業体験)時に役立てる。担当者は「順調な採用につながっている」と話す。
近年は同協会と県との協定で、鳥インフルエンザなど防疫業務が加わり、建設業界の役割はさらに大きくなった。同協会の矢口和博専務理事は、給与が良い、休暇が取れる、希望が持てる、かっこいい-の「新4K」を掲げる。
固定化された古いイメージを打ち破り、「若者に選ばれる業界にしていかなければならない」と強調した。
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