《連載:2025 茨城県内10大ニュース》(5) 古河で県内最高気温更新
■被害続発、気象の猛威
この夏は記録的な暑さに見舞われた。気象庁によると、日本の6~8月の平均気温は1898年の統計開始以来、最も高かった。8月には茨城県古河市で40.6度に達し、2024年7月に同市で観測した40.0度の県内最高記録を塗り替えた。今年は竜巻などの自然災害も続き、気象の猛威が目立った。
8月5日に県内最高気温を記録した古河市。危険な暑さの中、路面はかげろうが見えるほど熱せられた。JR古河駅前では日傘を差す人、水分補給する人の姿が見られた。
同市で最高気温が35度以上の「猛暑日」は、7~8月の62日間のうち6割の39日間に上った。市内の農園ではインド原産の熱帯植物「モリンガ」が初めて実をつける珍事もあった。
今夏の猛暑の原因について、気象庁の異常気象分析検討会は、大陸側のチベット高気圧と太平洋高気圧の二つが重なり日本上空を覆ったこと、地球温暖化の影響、日本を含む北半球中緯度帯の海面水温の上昇などを挙げた。猛暑を受け、同庁は最高気温が40度以上の日に新しい名称を付ける方針を示している。
厳しい暑さで、熱中症の被害は広がった。消防庁によると、5~9月の熱中症による救急搬送者数は全国で10万510人(確定値)と過去最多。このうち県内は2442人と24年(2441人)並みの高水準で、死者は2人に上った。
レジャーは暑さの影響もあり「海離れ」の傾向が続く。県によると、県内の海水浴場の入り込み客数は38万7956人で、2年連続で40万人を割り込んだ。
今年は突風被害などの自然災害も目立った。7月1日には、同県つくば市の国立科学博物館筑波実験植物園で複数の樹木に被害があり、同県かすみがうら市では納屋の屋根が飛ばされた。9月5日には同県日立市のJR常磐線大甕駅付近で車2台が横転。同18日にはつくば市で2階建ての事務所兼倉庫が倒壊するなど30件以上の家屋・建物が被害を受け、同県境町では約30トンのクレーンが付近の県道に落下した。
水戸地方気象台によると、9月の日立、つくば両市の突風被害は竜巻による。つくばの竜巻はほぼ同時刻に近距離で二つ発生するという珍しいケースで、建物の倒壊があった同市花室から同市上広岡までの2~3キロを移動。竜巻の風速は約45メートルと推定される。
猛暑から竜巻まで、気象の猛威にさらされた1年だった。











