《連載:2025 茨城県内10大ニュース》(9) J1鹿島、J2水戸躍進
■茨城県勢 両リーグを制覇
サッカー・J1で鹿島アントラーズが9季ぶり9度目のリーグ優勝を遂げ、水戸ホーリーホックはクラブ創設31年目にして、初のJ2制覇とともにJ1昇格を決めた。茨城県勢がJリーグの1部と2部を制する〝ダブル載冠〟に県内は大いに盛り上がった。
鹿島は今季就任の鬼木達監督(51)の下、近年薄れていたクラブ伝統の「鹿島らしい」勝負強さを取り戻し、泥くさく白星を重ねた。指揮官が志向する流れるようなパスサッカーも徐々に浸透した。
順風満帆ではなかった。シーズン開幕節の湘南戦はほぼ良いところがなく敗れ、4月にはルヴァン杯2回戦敗退。さらにDF安西幸輝、DF関川郁万、FW師岡柊生といった主力が相次いで大けがを負うなど、数々の苦難が訪れた。
それでも、決して大崩れすることはなく、近年苦手としていた夏場以降の戦いぶりにも安定感があった。劇的勝利を挙げた7月20日の第24節柏レイソル戦から、15試合負けなしで首位を堅持。優勝に王手をかけて迎えた横浜F・マリノスとの最終節は、持ち味のプレー強度の高さに加え、今季磨いてきた鋭いパスワークでも相手を圧倒した。
鬼木監督は「本当に言うことはない。感無量の気持ち」と喜びつつ、「来季もその先もタイトルを取り続ける」と見据えた。
水戸は「やりきる、走りきる、勝ちきる」を合言葉にリーグを席巻。就任2年目の森直樹監督(48)=現フットボールダイレクター=が従来の堅守速攻に強度を加えた「スピーディーなサッカー」を築いた。
一時は15位まで低迷したが、中盤戦、8連勝を含む15試合連続無敗のクラブ新記録を樹立。一気に首位に立ち、以降は自動昇格圏の2位以上を保ち続けた。
新戦力が活躍し、FW渡辺新太はリーグ日本人最多13得点を挙げ、DF大森渚生は全試合フル出場で躍進を支えた。2年目のMF斎藤俊輔ら若手も台頭した。
2位で迎えた最終節の大分トリニータ戦では、同県日立市出身のFW多田圭佑が試合を動かし、2-0で完勝。前節の天王山で首位の座を譲っていたV・ファーレン長崎に再逆転し、優勝で悲願のJ1昇格を決めた。
24年の売上高はリーグ平均を大きく下回る約12億円で、直近2年間は残留争いを過ごした。特定の責任企業を持たない水戸のJ1昇格は、他の市民クラブに希望を与える大躍進だった。 来季はいよいよ、J1で鹿島と水戸の「茨城ダービー」が実現する。両チームから目が離せない。
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2025年12月23日(火)











