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《連載:2025 茨城県内10大ニュース》(6) 参院選・知事選

知事選の遊説先でSNSへの投稿用動画を撮影する大井川和彦氏=8月21日、大洗町磯浜町
知事選の遊説先でSNSへの投稿用動画を撮影する大井川和彦氏=8月21日、大洗町磯浜町


■SNS駆使、参政躍進

第27回参院選は7月20日に投開票され、自民、公明両党による与党が大敗し非改選を含め参院全体で過半数を割り込んだ。昨年10月の衆院選に続き、少数与党に転落する結果となった。当初は続投を表明していた石破茂首相は求心力を失い、茨城県など自民党の地方組織から相次いだ「早期退陣」を求める声を背景に、9月には退陣に追い込まれた。

県内では、派閥の裏金事件に端を発した「政治とカネ」を巡る逆風が吹く中、自民現職の上月良祐氏=公明党推薦=が経済産業副大臣や党農林部会長などの実績と強固な組織力を生かして3選。6年前の前回より得票数は落としたものの、トップ当選を果たした。

2議席目は参政党新人の桜井祥子氏が党の勢いを追い風に、無党派層や若年層を中心に支持を取り込み、立憲民主党現職の小沼巧氏を抑え初当選。1995年以降、自民と旧民主党系が分け合ってきた「指定席」の一角を切り崩した。

桜井氏を押し上げたのはSNS(交流サイト)を活用した戦略だった。政治に関心がない有権者への浸透を図るため、街頭演説を短くまとめた動画を配信。支持者から寄せられたメッセージに自ら返信するなどし、投開票日のX(旧ツイッター)フォロワー数は公示前の2倍以上に拡大した。

知事選は、その約1カ月半後の9月7日に投開票された。無所属で現職の大井川和彦氏=自民、国民、公明推薦=が、ともに無所属新人の田中重博氏=共産推薦=と内田正彦氏を大差で破り、3回目の当選を果たした。

知事選でも各陣営はSNS活用を進めた。大井川氏はXやフェイスブック、インスタグラムなど、撮影した動画を媒体ごとに視聴者の年代に合わせて編集。動画投稿サイト「ユーチューブ」では対談形式の生配信も行い、「これまでにない取り組み」(陣営)を進めた。

ただ、投票率は33.52%と過去5番目の低さで、参院選の54.67%と比べても関心の高まりは限定的だった。告示前日に立候補を表明し、組織や団体による支援のない内田氏がSNSを駆使して15万票を集めるなどしたものの、事実上の「信任投票」となった選挙は盛り上がりに欠けた。

人口減少や南北格差、物価高騰に対する経済対策など県政の課題は多い。3期目を迎えた大井川県政が掲げる「選ばれる茨城づくり」は、これから真価が問われる。



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