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【AI いばらきの未来図】 (第2部 創造(5)) 《連載:AI いばらきの未来図》第2部 創造(5)アバター接客 省力化

AIアバターが質問するアンケート内容に回答する親子=水戸市泉町
AIアバターが質問するアンケート内容に回答する親子=水戸市泉町


■言葉を理解 容姿も判別

ゴールデンウイーク後半4連休初日の3日、多くの買い物客らが行き交う茨城県水戸市泉町の京成百貨店。正面口に置かれたデジタルサイネージ(電子看板)に、女性のアバター(分身)が映る。

母親と来店した同市立梅が丘小6年の甲斐希実さん(11)が近づくと、アバターが「お客さまのことを聞いてもいいですか」とゆっくりした口調でアンケートの協力を求め、年齢や来店目的などを順に聞く。

「店にあったらいいと思う商品は」と尋ねられ、甲斐さんは「アクセサリーがほしい」と回答。最後はアバターが「ご協力ありがとうございました」と頭を下げた。

甲斐さんは「とても面白かった。アバターの反応が早くなれば本当の店員さんと話すのと変わらないかも」と笑顔を見せた。

ソフトウエア開発のユニキャスト(同県日立市)が昨年末に開発した新商品。既存のアバターによる遠隔接客サービス「KSIN(けしん)」に人工知能(AI)を組み込み、自動応対を可能にした。今回は実証実験で、人の答えを聞き取って理解できるか確認した。

新商品で、同社は接客業務の効率化や人手不足の解消を目指す。

会話から客の好みや求める機能を把握して適切な商品を提示することや、店内のフロアや開催中のイベントを案内することなども想定する。

商品説明では、詳細な内容や専門性の高い場合など、AIで対応が難しいときは有人オペレーターに切り替え、人が遠隔で対応することもできる。

同社の志岐俊郎執行役員(47)は「AIができることはAIが行い、人間はAIができないことに注力できるようにしたい」と話す。

「AIアバター」を新たな労働力とし、接客業務の一部自動化や無人化を見据える。

県のインターネット動画サイト「いばキラTV」で、茨城県の魅力を発信する県公認バーチャルYouTuber(Vチューバー)「茨ひより」。2023年度にAIを組み込んだ「AI茨ひより」が登場した。

性格や口癖、言い回しなどは従来のキャラクターのままに、日本語で話しかけると日本語で音声回答する。多言語対応機能を備え、英語や中国語を聞き取り、それぞれの言語の字幕で返答する。

24年度は画像認識機能を追加。JR水戸駅ビル(水戸市宮町)内にある立ち飲みスタンド「いばらき地酒バー水戸」で今年3月までの半年間、客の性別や年代、服装などから最適な銘柄を薦めて県の地酒をPRした。

県は本年度、英語、中国語に加えて韓国語も音声返答を可能にし、地酒などの特定分野に限らず、観光や食、歴史など県全般について自然に会話できるよう取り組んでいる。

県プロモーションチームの菊池克実チームリーダー(52)は、活動の幅を広げて話題性を高め、関心を持つ人を増やしたいといい、「AI茨ひよりの個性や親しみやすさを生かし、人とは異なる形で県の魅力をPRしたい」と述べた。



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