《旬もの》原木シイタケ(茨城・古河市)
■肉質締まり、歯応え抜群
現在、国内外で生産されているシイタケのほとんどは、おがくずを固めた菌床で育てる「菌床栽培」。木に育てる「原木栽培」は菌床より労力がかかり、生産効率も及ばないため、国内の生シイタケのシェアで原木は約6%(2022年林野庁)にとどまる。
茨城県古河市の高橋農園では約70年前からシイタケを生産、販売している。代表取締役の高橋恭嗣さん(66)が丹精込める生産方法は伝統的な原木栽培で「自然に近く安心して食べられる」と高橋さん。
原木シイタケは「食感が違う。肉質が締まって厚く、歯応えがある。一言で言えばおいしいってことです」と自信たっぷりに笑う。
同園では40年以上前から、栽培期間中に農薬は全く使わず化学肥料も使用せず、原木に含まれる栄養のみで栽培している-と書くと、放っておくだけかと誤解されそうなので、栽培法をもう少し詳しく説明しよう。
シイタケを生やす原木は長さ92センチ、直径7~15センチ、重さ5~10キロの国産クヌギ。これに菌糸を植えた木こまを40個余り打ち込み、「ほだ木」として約1年半寝かせて菌を定着させる。
寝かせた後のほだ木は、ある技を効かせて発芽を促す。具体的にはほだ木同士をぶつけあって菌糸を刺激した後、水に一日半漬けて並べる。その名も「打撲浸水」。
すると、あーら不思議、次々と発芽したシイタケは、約1週間から10日で3~5センチの出荷サイズまで成長するのだという。ほだ木1本から4~5回収穫できる。
同園では約350本をひとまとまりとして一連の作業を順に進めるが、ほだ木の移動などに手間と時間がかかり、かつ重労働。冬期のハウス内栽培も含め、4万~5万本のほだ木から年間20トンのシイタケを通年で生産出荷している。
「最近は高温の影響を感じる。散水や風通し、気温などにも細心の注意が必要」と温暖化を懸念する高橋さんは、二酸化炭素(CO2)の排出削減、脱炭素にも取り組む。使用済みのほだ木は冬期のビニールハウス暖房の燃料にするほか、炭にして畑に入れている。トレーを袋包装にしてプラスチック重量を減らす工夫もしている。
■メモ
原木シイタケ
▽高橋農園の住所は古河市上大野513の5
▽(電)0280(97)1070、ファクス0280(97)1071
▽原木シイタケは同社ホームページ(http://takahashi-nouen.co.jp)からの購入が便利。
メール:info@takahashi-nouen.co.jp
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