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《旬もの》シャンサイ(茨城・行方市)

青々と育ったシャンサイを手に笑顔を見せる根本正義さん=行方市小貫
青々と育ったシャンサイを手に笑顔を見せる根本正義さん=行方市小貫
計量して束ね出荷準備が整ったシャンサイ
計量して束ね出荷準備が整ったシャンサイ
収穫したシャンサイを水洗いする
収穫したシャンサイを水洗いする


■独特の香り 濃厚な味わい

霞ケ浦と北浦に挟まれ、平たんな農地が広がる茨城県行方市。温暖な気候と肥沃(ひよく)な大地に恵まれ、「二湖の国」とも称される同市の農作物は実に多彩。サツマイモ、チンゲンサイ、ゴボウ、ミズナ、レンコン、イチゴなどさまざまな品目がそろう。

そんな行方市の農産物ラインアップに2003年に加わったのが「シャンサイ」。JAなめがたではシャンサイの名前で販売する。別名「パクチー」(タイ語)。コリアンダー(英語)、香菜(シャンツァイ)(中国語)などさまざまに呼ばれるが、全て同じもの。爽やかで特徴ある香り、アジアンテイストあふれる野菜だ。

タイやベトナム料理に代表されるちょっと刺激的なエスニック料理を思い浮かべる人も多く、独特の風味に食欲が刺激される人、「においがちょっと-」という人、好き嫌いが分かれる食材でもある。

10月中旬、同市小貫、根本正義さん(69)のハウスには、青々として収穫するばかりのシャンサイが育ち、独特の香りに満ちていた。

「セリ科のシャンサイは、水を多く必要とするが、やり過ぎも良くない。成長具合と、ほ場に合わせた水やりが難しい」と根本さん。夏の日差しや高温も手ごわく、管理を誤るとすぐに黄色くしなびてしまい簡単には育たないという。

連作障害も大敵で「土壌微生物の力で土を消毒する還元消毒が欠かせない」と労苦は尽きない。そうした手間から、国内では群馬、静岡、佐賀、福岡などでも産するが、大産地はない。

厳選した種とセリ科の作物生産者が多かったこともあり、JAなめがたしおさい葉物部会香菜部のシャンサイは夏を除き、ほぼ通年の出荷を実現。全国トップクラスの生産地に。「香り高く濃厚な味わい」と市場評価も上々だ。

16年の「パクチーブーム」もあって、民間団体が主催する「今年の一皿」にパクチー料理が選ばれるなどメディアの注目も集める。食品流通関係者の間でも行方シャンサイの認知度は向上していった。17年度には茨城県を代表する産地に与えられる県銘柄産地の指定を受ける。

「シャンサイの魅力はなんといっても、癖はあるが独特の香り。新鮮なものはサラダで食べるとよい。てんぷらも意外といける」と根本さん。「これからもおいしく香り高い、高品質のシャンサイを生産していく」と力強い。

■メモ
シャンサイ
▽JAなめがたしおさい北浦営農経済センターの住所は、行方市山田3289の1
▽通年で出荷しているが、夏場は生産が難しく品薄。
▽問い合わせは同センター(電)0291(35)3515



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