《旬もの》和紅茶(茨城・城里町)



■渋み少なく、風味まろやか
日本は緑茶の国だが、気候や土壌に根差し、伝統的な栽培技術で育てた茶葉を使い、国内で作る紅茶もある。特に区別して「和紅茶」と呼ばれるそれは、渋みが少なく爽やかで、まろやかな風味。茶葉本来のほのかな甘みはどこか緑茶と通じる優しさだ。
茨城県城里町の地域おこし協力隊員を経て、同町で就農した一丸(いちまる)大地さん(28)は茨城の三銘茶の一つ「古内茶」の里での和紅茶作り2シーズン目。一番茶の出荷を控え、二番茶の収穫も間近だ。同町古内地区で40アールの茶畑に育つ品種「さやまかおり」から、5種類の和紅茶を商品化して送り出す。
1番人気はそのものズバリの「さやまかおり」。やや軽めで渋みが少なく、適度な苦みとすっきりとした後味。舌先に甘みがかすかに残る。ストレートで十分おいしく、冷やせば喉越しよく飲めそうだ。
もう一つ、一丸さんが自信を持って作るのが「燻紅(いぶしべに)」。ほのかな煙と木の薫香はピート(泥炭)でいぶして醸す。ウイスキーのようなスモーキーさが特徴でチーズやチョコレートと合いそうだ。
生まれも育ちも東京という一丸さん、なぜ茨城で和紅茶を-。「子どもの頃から自然の中での生活に憧れがあって、いつか田舎暮らしを」と思いを語る。大学院卒後、妻の実家がある茨城での就農を模索しながら同町で研修を受けた際、緑に輝く「茶畑の美しさ」に魅了された。
しかし緑茶の製造には大きな初期投資が必要だった。そこで浮かんだのが同じ茶の木から作る紅茶。摘んだ茶葉を乾燥させ、もんで成分を抽出し、酸化酵素の働きを促して完全発酵させ、風味を引き出したものが荒茶となる。さらに選別してティーバッグ用は細断して製品に-以上がおおよその製造工程。
緑茶より機械も工程も少なくて済むため、機械は中古でそろえ、道具類も自作した。
「紅茶は緑茶以上に製造者によって出来上がりに違いが出やすい。まだ経験は浅いが、理想の和紅茶作りの最適解を追求したい」と一丸さんの狙いは明確だ。今年の目標は「生産量を前年の倍にしたい。十分実現できる」と意欲的だ。
■メモ 和紅茶の販売先
▽道の駅かつら
▽城里町物産センター山桜
▽城里町、ホロルの湯
▽JA水戸農産物直売所・つちっこ河和田
▽問い合わせは、しろさと紅茶らぼ d.ichimaru0@gmail.com
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