《旬もの》日本ミツバチの蜂蜜(茨城・水戸市)
■希少、複雑でまろやかな味
日本ミツバチの蜜のみの純粋蜂蜜。スーパーなどで見かける蜂蜜は珍しいものではない。しかし国産をうたうものは少なく、日本ミツバチによる蜂蜜はさらに少ない。
一説では国内市場に出回る国産蜂蜜は約10%で、そのうち日本ミツバチは1%程度といわれている。とすると日本ミツバチの蜂蜜は流通量全体の0.1%か。その希少な蜂蜜を作る茨城県水戸市田谷町の田谷ファーム、宮田実さん(67)方を訪ねた。
日本ミツバチは、文字通り日本の山野に生息しているミツバチ。黒っぽい体が西洋ミツバチよりも一回り小さく、性格はおとなしいという。日本ミツバチと西洋ミツバチ、何が違うのか。早速、宮田さんに尋ねた。
「まず西洋ミツバチが特定の花を蜜源としている単花蜜(たんかみつ)である一方、日本ミツバチは複数の花を蜜源とする百花蜜(ひゃっかみつ)」と宮田さん。一なめすると濃い見かけの割にさらりとしており、えもいわれぬ香りと若干癖のある甘みが舌に広がった。
西洋ミツバチの蜂蜜が「一つの花の香りを残すのに対して、日本ミツバチのそれはいろいろな蜜が混じり合い、熟成されるのでこくがある。季節によって、花によってどれと指摘できない複雑な味わいとまろやかさがある」と解説してくれた。
西洋ミツバチは短期間に大量の蜜を集められ、年に3~4回は採蜜できるが、宮田さんは「日本ミツバチは体も小さく、行動範囲も3~4キロと狭いので半年ほどかかって大きくなった蜂の巣から蜜を取れるのは年に1度が精いっぱい」と生産能力を明かす。
「西洋ミツバチが一生に集める蜜はティースプーン4~5杯分とされ、日本ミツバチの場合は1杯に過ぎない」(宮田さん)と聞けばその希少性とともに、割高なのも理解できよう。
生息環境に敏感で、暑さなど環境が悪化すると巣からあっさり逃げてしまう扱いづらさもあって、日本ミツバチを使う養蜂業者は減っている。「絶対量が少なく商売としては成り立ちにくいが、もうけようとやっているわけではないので。ただ貴重なものを残したい、というのはある」と宮田さん。
昨年の収量は15キログラムと不作で残りは少ない。今年は30キログラムを目指すが採蜜は9月下旬。「どうなるかなあ」と笑った。
■メモ
日本ミツバチの蜂蜜
▽田谷ファームの住所は茨城県水戸市田谷町2027の2
▽問い合わせは(電)090(4060)5896
▽取扱先は、水戸市のヨークベニマル赤塚店、ひたちなか市の同ひたちなか店、同東大島店(いずれも店頭在庫のみ)
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