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《旬もの》生キクラゲ(茨城・鹿嶋市)

肉厚で歯応えが特徴。収穫前の生キクラゲを手にする工場長の原周さん=鹿嶋市志崎
肉厚で歯応えが特徴。収穫前の生キクラゲを手にする工場長の原周さん=鹿嶋市志崎
生キクラゲの選別作業
生キクラゲの選別作業
生キクラゲとブナシメジ
生キクラゲとブナシメジ


■栄養豊富、スーパーフード

暗い倉庫のような建物に入ると、生温かい風に渦巻く霧に包まれた。たちまちカメラのレンズが曇る。目を凝らすと、6段の棚に整然と並ぶプラスチック瓶に「茶色」がびっしり生えている。

ここはキクラゲ、ブナシメジ、エリンギなどの室内製造と販売をするハラキン=本社・茨城県鹿嶋市、原謙次社長(69)=の育生庫。同社工場長の原周さん(38)が抱えるのは、木に生えるクラゲのような食感のキノコ-だからキクラゲ。間もなく収穫して生のまま出荷する。

「プリプリとした食感で無味無臭。どんな食材にも合うのがキクラゲ。栄養価、特にビタミンDは一番で、食物繊維、カルシウム、鉄分、ミネラルなどが豊富です。スーパーフードと言ってもいい」と原さんは胸を張る。その言葉通り、加熱してショウガやわさびじょうゆで食べると、弾力ある舌触りと歯応えで、乾燥物とはまるで別物だ。

中華料理でおなじみだが、それ以外にも黒蜜やきな粉であえたり、サンドイッチにしたり、ヨーグルトに交ぜても合うという。写真・動画共有サイトには同社の80種に及ぶレシピが並ぶ。

始まりは農家の跡継ぎだった20代の原社長が目にした「長野県で施設によるキノコ栽培」という記事。「これだ!」と直感し、勇躍見学に出かけたところ「企業秘密」を理由に入り口からのぞくのがやっと。しかし棚に整然と並ぶキノコを見て原社長は鳥肌が立ったという。

同じころ三重県で始まった栽培現場で教えを請い1976年、周囲の猛反対を説得してヒラタケの室内栽培に乗り出した。その後、ブナシメジ、エリンギなどに製造を拡大。2011年からキクラゲの製造販売を始めた。

キクラゲ栽培で難しいのは、温度、湿度、二酸化炭素濃度、照度などの最適化。最も好ましい生育環境を探り当てるまで試行錯誤を重ねること4年。収穫まで約60日と栽培期間の短縮にも成功し、特許も取った。出荷まで一貫した社内ラインによって年間の安定供給に道を開いた。

ハラキンはブナシメジとエリンギの製造販売を中心に、国内トップクラスまで成長した。「栄養豊富な生キクラゲの製造販売を通じて、消費者の食の安全と健康に貢献できれば」と取り組む原社長。年間200トンの生産量は国内トップを誇る。

■メモ
生キクラゲ▽生キクラゲは県内大手スーパーのチェーン店で購入できるほか、フリマアプリ、メルカリ「茨城県のきくらげ屋さん@即購入歓迎♪」(https://www.mercari.com/jp/u/233474947/)でも販売中。
▽問い合わせはハラキン、フリーダイヤル(0120)690605(午前9時~午後4時、土日祝日休み)



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