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《旬もの》ワカマツ(茨城・神栖市)

ワカマツを生産する長谷川泰明さん。約3~4年かけて育て、年に12万~13万本出荷する=神栖市矢田部
ワカマツを生産する長谷川泰明さん。約3~4年かけて育て、年に12万~13万本出荷する=神栖市矢田部
正月飾りを彩るセンリョウ
正月飾りを彩るセンリョウ
砂地で育ったワカマツは葉の密度が高く、緑の色が濃くなる
砂地で育ったワカマツは葉の密度が高く、緑の色が濃くなる


■天に真っすぐ伸びる姿

2025年も残すところあと半月余り。そろそろ新年を迎えるための準備を始める頃だが、門松など正月飾りに欠かせないのがワカマツ。天に向かって真っすぐ伸びる姿から、「不老長寿」や「繁栄」を象徴する縁起物とされる。

JAなめがたしおさい波崎千両部会副部会長の長谷川泰明さん(63)は、茨城県神栖市矢田部で30年以上にわたりワカマツを育てている。毎年12月上旬に12万~13万本を出荷するワカマツは、東京の市場を経て全国に届けられ、正月飾りや生け花などに用いられている。

同市は全国有数の産地。その理由について、長谷川さんは「砂地で水はけが良く、補肥力がそこまで高くない。あくまで観賞用だから見た目が良いことが大事で、そのためには木に力を与えすぎない土地が良い」と説明する。この地で育ったワカマツは、葉の密度が高く、濃く鮮やかな緑色で見栄えがするという。

ワカマツの栽培には3~4年かかる。毎年4月下旬~5月上旬にかけて種をまき、約10カ月間で高さ5センチほどに成長した苗木を選別・定植。さらに2~3年かけ、高さ1メートル前後になるまで育てた後、11月上旬に収穫する。

ポイントは、真っすぐ上に伸びるように10センチ間隔で定植すること。「隣の木と近いから、どうしても(木同士の)勝ち負けが出る。そういう意味でも、木が大きくなりすぎないのは重要で、ここは質の良いマツの量も確保できる」

長谷川さんは「自然が相手だから、コントロールは難しい。同じように育てても、温度や天候によって出来が変わり、日々手探り」と繰り返す。その中で特に気を使うのが、苗木を育てる1年目。根の張りがまだ浅く、乾燥しやすいため、定植後と比べて丁寧な水管理が必要だそうだ。

収穫したワカマツは枝を切ったり、葉の長さを整えたりした後、全体に占める葉のバランスや枝の太さなどによって最高の1等から4等まで4等級に分けて出荷する。

長谷川さんは、こちらも正月飾りに欠かせないセンリョウも栽培している。「今年の出来はまずまず。(ワカマツとセンリョウは)縁起物で日本の伝統。ぜひ飾って、良い新年を」とはにかんだ。

■メモ
▽茨城県神栖市矢田部3357
▽長谷川さん(電)090(1840)9638
▽一般向けの販売は行っていない
▽ワカマツとして等級の低いものも、側枝が張り出していない「カラゲ松」や松かさが付いた「子宝松」として市場に出回ることがある。



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