《旬もの》キウイ(茨城・常陸太田市)
■爽やかな酸味、高い人気
その奇妙な鳥を初めて見たのはニュージーランド南島、クライストチャーチの動物園夜間観光コースだった。細いくちばしの頭と足が、まさに果物キウイから生えたような鳥で、ぼんやりとした光の下にじっとしていた。しかし元々は鳥のキウイが先で、後に鳥と似た果物の方もキウイと呼ぶようになったらしい。
それから幾星霜。キウイはビタミンCやE、食物繊維、カリウム、ミネラルが豊富なフルーツとして知られる一方、飛べない鳥の名として知られるようにもなった。
茨城県常陸太田市の「あすか農園」では、赤須順さん(73)、美智代さん(70)夫妻がキウイの栽培を始めて40年以上。今年も33アールの畑から収穫し、大きさごとに選別。倉庫で追熟後、今月30日から自宅で直売する。
キウイはブドウ農家だった赤須さんの父親が、ブドウの後にできる新たな収入作物として1975年、「珍しいし高値で売れそう」と生産者仲間とニュージーランドから苗を輸入し、栽培が始まった。
剪定(せんてい)や摘果など栽培法を模索しつつ、3年後には出荷を開始した。しかし当初は「追熟させることも知らず、収穫してすぐ、堅いまま出荷して『食べられない』と苦情が来た」と赤須さんは苦笑交じりに振り返る。
追求するのは木を健康に育てること。農薬や化学肥料を使わず肥料は自家製。育てる畑や木の剪定、授粉作業、収穫時期の見極め、追熟など作業は続く。
同農園のキウイは「その土地の気候風土の中で栽培条件を整え、健康に育てる適地適作を基本として」エチレンガスを出すリンゴと一緒にしてゆっくり熟成させる。「冷蔵庫で適切に管理すれば1年持つ」ほどだ。「今は季節になればスーパーに並んで珍しくもないが、当時は手に取る人も少なかった」とも語る。
今の主力は果肉が緑で爽やかな酸味の「ヘイワード」。甘い黄色種、もっと甘い赤の品種も栽培する。赤色は糖度が高く人気だが、無農薬栽培のため虫の害を受けやすく、生産量も少ないためすぐに売り切れてしまう。緑、赤、黄の3色がそろって並ぶのは12月初めのわずかな期間。近年は贈答品としても人気が高い。
■メモ あすか農園
▽今年のキウイ直売は11月30日から
▽住所は茨城県常陸太田市天神林町2128
▽電話番号、ファクスは0294(72)5520
▽メールアドレス:aska_farm@ybb.ne.jp
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