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《旬もの》はるか海老(茨城・ひたちなか市)

アミノ酸を多く含む「はるか海老」を養殖する松木徹社長=ひたちなか市津田東
アミノ酸を多く含む「はるか海老」を養殖する松木徹社長=ひたちなか市津田東
施設内で水をろ過して再利用する「閉鎖循環方式」で養殖する
施設内で水をろ過して再利用する「閉鎖循環方式」で養殖する
干し芋の残渣(手前)を粒状にしたものを餌の一部に使用
干し芋の残渣(手前)を粒状にしたものを餌の一部に使用


■干し芋餌に甘くおいしく

天丼のてんぷらには序列があるらしい。漫画家の東海林さだおさんは「エビがナンバーワンで、イカ、キス、アナゴなどがナンバーツー、野菜系はその他大勢という順位になる」(文芸春秋「うなぎの丸かじり」)と断言。さらに「ぼくの場合は、いきなり一位のエビにいくということはない。これまでの生涯で一度もない」(同)とまで言う。そういえば記者もエビは最後の方に食べると気付いた。

茨城県ひたちなか市、精密機械部品製造の「エムテック」敷地内にある養殖プラントでは、15~18センチに育った「一位」のシロアシエビ(バナメイエビ)が元気に泳ぎ回っていた。サツマイモの「紅はるか」の干し芋残渣(ざんさ)を餌として「はるか海老」と命名。高級エビとして売り出している。

近年、製造業の市場規模は縮小。資材や人件費の上昇も追い打ちをかけ、同社の経営環境は厳しい。そうした中、松木徹社長(49)が新たな収益事業として考えたのがエビの養殖だった。

しかし、なぜエビなのか。「初めは趣味のニシキゴイの飼育経験を糸口に、養殖と海外輸出を考えた。しかし、生き物は検疫などハードルが高い。エビは国内需要も多く、冷凍すれば輸出も容易なので」と事業開始のきっかけを語る。

秋田県から稚エビを仕入れて養殖法を研究しつつ、同社敷地内に養殖プラントを建設。2023年、養殖に乗り出した。「養殖は水温や水質など蓄積データを評価分析して改善に生かす。ものづくりの品質管理と似ている」という。

プラントは水槽の水をろ過して再利用する「閉鎖循環方式」。排水が少なく環境負荷も小さい。病気や寄生虫のリスクを抑えられ、安全性も高いとされる。

餌は魚粉に加え、地元産の干し芋の皮やかすなど、廃棄されていた残渣を乾燥させ、粒状に加工した餌を与えている。残渣の利用は持続可能な開発目標(SDGs)にもかなう上、副次効果をもたらした。

茨城県産業技術イノベーションセンターでエビのうまみや甘みに関わるアミノ酸含有量を調べたところ、通常の約2倍という値を記録。松木社長は「特産の干し芋で実際に甘くおいしいエビが育った」と胸を張る。

当面の出荷目標を3万匹とし、「6万匹ぐらいまで伸ばしたい。生産管理や施設機器などをひっくるめた養殖ノウハウの相談、支援など幅広く展開していきたい」と展望を語る。

■メモ 株式会社エムテック
▽エビの養殖、取り扱い関連の問い合わせは同社へ。
▽住所は茨城県ひたちなか市津田東2の1の3
▽電話番号は029(272)4310
▽https://www.m-tech61.com/



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