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《旬もの》暁のしらうお(茨城・行方市)

漁から戻り新鮮なシラウオを水揚げする皆藤勝さん=行方市荒宿
漁から戻り新鮮なシラウオを水揚げする皆藤勝さん=行方市荒宿
鮮度の良い状態で真空パックされた「暁のしらうお」
鮮度の良い状態で真空パックされた「暁のしらうお」
透明で鮮度抜群のシラウオ
透明で鮮度抜群のシラウオ


■鮮度見極め、船上で選別

辺りが白み始めた午前6時半過ぎ、茨城県行方市荒宿の船だまり。頭上にはユリカモメやアオサギが舞い、静かな湖面にはカモ類が群れている。水面に引き波を描いてシラウオ漁の船が戻ってきた。

霞ケ浦漁協の漁師、同市羽生の皆藤勝さん(42)は船を岸壁に着けると、慣れた動作で「よいしょ」とトロ箱を岸に上げた。中は4~5センチほどの真っ白なシラウオでいっぱいだ。それとは別に、ふた付きの小ぶりな発泡スチロール箱を丁寧に脇に置いた。

「これです」とふたを開けると、氷で冷やしたかごに少量のシラウオ。2、3匹つまんで朝日にかざすと透き通っている。県と同漁協が開発した鮮度保持技術の下、2024年に誕生したブランド「霞ケ浦 暁のしらうお」だ。

生産するのは同漁協約100人の中でも講習を受け、特別な技術を持つ皆藤さんら3人のみ。「船の上で選別、洗浄して冷やし、生臭さの原因を取り除く。『暁』たる鮮度の見極めも重要。話せるのはここまで」と、どことなく誇らしげな皆藤さん。「同じ1年魚の魚で同時に漁獲したもの」でも、「きょうの約50キロのうち『暁のしらうお』は3~4キロかなあ」と続けた。

シラウオは同市の加工場へ。ごみや他の小魚類、エビを手作業で除き、100グラムごとに分けて真空パック。マイナス30度で冷凍する。「解凍後も透明感は変わらず、食感はプリプリのコリコリ」と作業する同漁協の高野和美さん(64)は請け合う。

「食べれば分かります。イメージが変わる」と皆藤さん。塩で試食すると、さっきまで泳いでいたと実感する歯応え、舌の上に広がるうまみが鼻から抜けていった。後から来るほのかな苦みが味に深みをもたらす。「レモンを搾ったしょうゆなどで、生で食べるのが一番。私は塩で食べるのが好き。お酒が進み過ぎるのがちょっと」と苦笑い。

漁期は魚が大きく育つ晩秋から12月いっぱい。鮮度維持のため網引きの時間は30分以内。「取り過ぎると網の中で魚同士こすれて傷む」。皆藤さんは短時間で少量の漁獲を守る理由をそう説明する。高品質を保ちながら、水産資源の保護、漁業の持続可能性につなげている。

■メモ 霞ケ浦 暁のしらうお
▽購入は霞ケ浦漁業協同組合ホームページhttp://jf-kasumigaura.jp/から
▽問い合わせは(電)0299(55)0057 ファクス0299(55)0881
▽同漁協の住所は、〒311-3512 茨城県行方市玉造甲1560の6



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