《旬もの》ハーブ(茨城・取手市)
■高品質生み出す堆肥の力
ハーブと聞いて、皆さんは何を思い浮かべるであろう。料理に香りを付け、保存効果を高め、薬や香料、防虫などにも利用される、爽やかではあるが、ある種癖のある香りを放つ葉っぱ-。そんなイメージだろうか。記者はいつもある歌が思い浮かぶのだが。
小貝川の南側、茨城取手市のシモタ農芸は約2ヘクタールのハウス20棟に約20種類のハーブと野菜を年間を通して栽培、出荷する。社長の霜多増雄さん(78)は自前の研究施設をつくり、土壌や農作物のデータを蓄積し、科学的根拠に基づいた無農薬・無化学肥料での野菜作りを40年以上研究してきた。現在は息子の辰樹さん(48)と浩子さん(52)夫妻が2代目として事業を担っている。
生のレモングラス、レモンバーム、スペアミント、ローズマリーなどをブレンドしたハーブティーをごちそうになった。黄色く澄んだお茶を一口含むと、青々とした味わいが口中に広がった。爽やかなのどごしとともに、えもいわれぬ香りが清々と鼻を抜けて、後味はすっきり。元気が出てきたのは気のせいか。
多種多様なハーブのパイオニアとして内外に知られる同社だが、もう一つの自慢は完熟堆肥と土。鶏ふんを使わず、ハーブや野菜残渣(ざんさ)のみで作る堆肥は「連作障害を防ぎ、野菜の硝酸成分を抑えて、体の酸化を防ぐ抗酸化力の強い野菜を育てる」と辰樹さんは解説する。窒素肥料中に含まれる硝酸塩それ自体は有害ではない。しかし濃度が高い作物は、えぐ味が出るという。
一般消費者にもハーブが認知されてきた昨今、高品質なハーブを生み出す土の力を証明すべく、イチゴや野菜類も栽培する。そして今、霜多夫妻の目標は「健康になる野菜作り」。4、5種類の野菜をそのまま食べられる「サラダセット」、手軽にハーブティーを味わえる「ドライハーブ」の販売も始めた。
ところで冒頭の歌の話だが、米国男性デュオ、サイモン&ガーファンクルが歌う「スカボロー・フェア/詠唱」。その一節に「〽パセリー、セージ、ローズマリー、アンド、タイム」と出てくる。いずれもよく知られたハーブだが、記者が初めて知ったハーブ類でもあった。
■メモ ハーブ
▽シモタ農芸の住所は取手市貝塚192
▽インスタグラムのアカウントはshimota_farm.shimotahirorin、フェイスブック「霜多浩子」
▽サラダセットは「ポケットファームどきどき つくば牛久店」で購入できる
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