《旬もの》優香メロン(茨城・鉾田市)



■豊かな風味、濃厚な果汁
おいしいメロン作りに必要なのは寒暖差と水はけの良い土地。鹿島灘に面する茨城県鉾田市は1年を通して温暖で昼夜の気温差があり、火山灰土の水はけは申し分ない。まさにメロンの栽培適地と言われるゆえんで、見た目の美しさ、引き締まった果肉、豊かな風味が持ち味だ。
6月上旬、同市安房のメロン農家、方波見嘉弘さん(46)、裕美さん(46)夫妻方のハウスに入ると、ムッとした熱気と甘い香りに包まれ、汗が噴き出した。ウネウネと伸びるつる、ワサワサと地を覆う肉厚の葉陰のそこここに黄色い優香メロンが見え隠れする。
アムスメロンを品種改良した青肉のメロンで、一般的なメロンより香りが強いことによる命名。市場になかなか出回らず「幻のメロン」とも。それもそのはず、生産者は少なく「一個一個完熟した物を収穫、出荷するため、数も限られる」と裕美さんが理由を説明する。収穫の見極めは「実とつるの付け根に亀裂が入った時」。出荷先はJAほこたファーマーズマーケットなだろうのみだ。
ネット(網目模様)は薄く、熟すと皮が緑色から黄褐色になる。分厚い果肉は「滑らかで繊維が少ない。果汁も多く、良い香りがする」と嘉弘さんは特徴を話す。糖度は17~18度、中には20度を超える物も珍しくない。味わいは、柔らかな歯触り、あふれる果汁はあくまで濃厚で、しかしくどさはない。
苗は前年12月に定植する。3本の芽の2本を残し、伸びたつるそれぞれに花二つを残す。雄花の花粉を雌花に付ける交配はミツバチを介して行われ、1本のつるの厳選した二つの実に栄養を集中させて育てるのが方波見流だ。
葉も重要で、大きくて肉厚の葉が、甘みを養い、形、大きさを育む。「高温は木を弱らせ、高湿は葉に悪く、網目も粗くなって見た目も良くない」と嘉弘さん。常にハウス内の温湿度に気を配り、ハウスの開け閉めに小まめに足を運び調整する。
実を付けてから収穫するまでは水やりなどさらにきめ細かな管理を要する。「旬も最終盤で数も少ない。幻のメロンを味わいたい方はお早めに」と方波見さん夫妻。
■メモ 優香メロン
▽JAほこたファーマーズマーケットなだろうの住所は鉾田市飯名537の1。
▽電話番号は0291(34)8888
▽数が少ないため来店客が優先。電話などでの予約、取り置きは受け付けていない。入荷の有無も問い合わせを。
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