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《いばらき御朱印めぐり》大子町・鷲栖山性徳寺 ユーモラスな顔文字

御朱印を持ち性徳寺の歴史を話す高野昌俊住職=大子町下金沢
御朱印を持ち性徳寺の歴史を話す高野昌俊住職=大子町下金沢
性徳寺の御朱印。大日如来や毘沙門天、准胝観世音の名を顔のように表現する
性徳寺の御朱印。大日如来や毘沙門天、准胝観世音の名を顔のように表現する
性徳寺
性徳寺


■法要に新たな試み追加

久慈川の支流押川が東西に流れる茨城県大子町下金沢。南北はなだらかな丘陵に囲まれ、のどかな里山風景が広がる。その丘陵の中腹に「鷲栖山(わしのすさん)性徳寺(しょうとくじ)」(高野昌俊住職)はある。1490(延徳2)年、宥貴法印(ゆうきほういん)によって開山された真言宗のお寺だ。本尊は大日如来。大子七福神巡りの6番寺として、勇気をつかさどり、商売繁盛の神でもある毘沙門天(びしゃもんてん)も祭る。またの名を「多聞天」。四天王の一人である。

一方、観音堂には、かつて同じ下金沢にあって、常陸国三十三観音霊場の二十八番札所として多くの信仰を集めた「慶福寺自在院」の准胝(じゅんてい)観世音菩薩(かんぜおんぼさつ)も安置している。

であるので、同寺は大日如来、毘沙門天、准胝観世音の御朱印を頒布している。大日如来は「日」、毘沙門天は「毘」、准胝観世音は「観」の文字が顔になっており、ユーモラスでかわいらしい。

同寺の法要は一風変わっている。式次第とお経、その意味を解説した「勤行式」が配られ、参列者がそろってお経を唱えるのだ。今では同寺の檀(だん)信徒の8割が実践するようになり「読経の唱和が本堂に響き渡ると、ある種荘厳な趣を呈する」(高野住職)ほどだという。

高野住職はまた、年回忌や追善法要などの機会に、故人に声を出して語り掛けながら焼香する新たな試みを行ってきた。生前の母親と十分に話せず、悔いが残った自身の体験から、亡くなった人に話せなかったことを手を合わせて語り掛けることが、遺族の心の救済につながると考えるからだ。

最近ではオンライン実況で参列し、焼香する遠隔地の参列者も現れた。同寺が従来の法要に新たな試みを加えるのは「葬式仏教」などと揶揄(やゆ)される現状があるから。「お寺は葬儀や法事のみの場ではない。死別を経験した遺族の心を理解し、寄り添うグリーフケアや、さまざまな癒やしの場として必要とされるようにならなければ」と高野住職。その意味でお寺と関わるきっかけとしての御朱印人気の影響は決して小さくないとも思える。

4年前には、境内にサクラとモミジを植え「憩いの林」として整備した。杉林だった本堂の後背斜面には、新たにサクラと広葉樹のコナラを植えた。ゆくゆくは境内に散策コースを設け、不動明王、釈(しゃ)迦(か)如来、文殊(もんじゅ)菩薩などの十三仏を祭って「散歩の道すがら、参拝できるようにしたい」と高野住職は語った。(第1土曜日掲載)

■メモ
アクセス…大子町の国道118号「道の駅 奥久慈だいご」前の交差点を同町役場方面へ曲がる。国道461号を進み、下金沢郵便局脇の路地を入る。「性徳寺入口」の看板あり。
住所…大子町下金沢292
電話…0295(72)8426
御朱印…大日如来、毘沙門天、准胝観世音とも各300円。希望すれば写経、写仏も受け付けるが、要相談。

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