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《食いこ》SNK味噌工房(茨城・那珂市)

自然栽培の原料でみそ造りを追求する鈴木信之さん(右)と妻、和子さん=那珂市飯田
自然栽培の原料でみそ造りを追求する鈴木信之さん(右)と妻、和子さん=那珂市飯田
昨年仕込んだみそ(左)と5年熟成のみそ
昨年仕込んだみそ(左)と5年熟成のみそ
平飼いの鶏が生む卵は濃厚で人気が高い=那珂市飯田
平飼いの鶏が生む卵は濃厚で人気が高い=那珂市飯田


■原料にこだわり 味に深み

熟成したみそを口に含むと一瞬の甘さの後、強い塩味と濃厚な香りが口に広がった。鈴木信之さん(73)、和子さん(69)夫妻が信念を持って造るみそは、うまみと深みのある味わいで知る人ぞ知る人気みそだ。

原料の大豆、米こうじは化学肥料・農薬を使わぬ自然栽培。もちろん遺伝子組み換えなどではない。

鈴木さんは建設技術者。都内の建設コンサルタント会社に勤めていたが、多忙を極め突発性の眼病を患った。茨城県那珂市の実家に戻った頃、和子さんがみそ造り講座を受講して造ったみそが思いの外好評だったことをきっかけに、無農薬、自然栽培の原料でみそ造りを思い立つ。千葉県で不耕起栽培を主唱する岩沢信夫氏の教えを請い、分けてもらった大豆10株からのスタートだった。

原料となる大豆は丹波白大豆の種を6月の夏至までにじかまきする。畝の間を通常より広い1メートル取り、株も50センチ間隔と広め。夏秋の成熟を経て12月に収穫、天日乾燥する。明けて1月、形や色の悪いものを手作業で選別する。

鈴木さんのみそ造り追求の情熱は原料の栽培と厳選にとどまらない。水に漬けた大豆は鉄釜で、まきの火で炊く。塩は海水を天日濃縮する昔ながらの製法を守る「赤穂の天塩」。発酵に欠かせない米こうじは自家栽培のコメから作る自家製米こうじを使う徹底ぶり。2~3月に木おけに仕込み、発酵、熟成を経て年間700キロを製造する。

これを1キロ千円で売る。「製造費、人件費を考えたら1キロ1500円でないと収支が合わない。造れば造るほど赤字」が本音だが、「千円を超えたら売れない」という和子さんの一言で今の値段になった。インターネット販売も勧められたが「妥協せずに品質を守って造り続けられる生産量は今が精いっぱい」と和子さんともどもうなずく。

みそ以外に自然卵も販売している。開放的な鶏舎で少数を平飼いし、餌は自然栽培もみ、シジミ殻、砕石などを含む配合飼料。運動を兼ねて鶏舎外に出し、雑草や昆虫を自由に食べさせる。こうして採れる卵は黄身と白身の粘りが強く、こくがあり、こちらも人気だ。

今季販売分のみそは完売したが、9月半ばには今年仕込んだみそが出荷される予定。問い合わせは同工房か、水戸市大工町の青果店「兎」へ。

■お出かけ情報
SNK味噌工房(Sは自然、Nは農業、Kはこだわり)
▽茨城県那珂市飯田1722の2
▽(電)029(298)6703(午後7時~)
▽有機野菜手づくり食品の「兎」でも販売している。住所は水戸市大工町3の4の29
▽(電)029(228)2339



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