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《食いこ》ヒオキ食品(北茨城市)

鍋から煮上げたアナゴを取り出し並べる「ヒオキ食品」の日置和彦さん=北茨城市平潟町
鍋から煮上げたアナゴを取り出し並べる「ヒオキ食品」の日置和彦さん=北茨城市平潟町
常磐ものの煮アナゴ
常磐ものの煮アナゴ
サバやイワシの加工品も人気
サバやイワシの加工品も人気


■煮穴子、丁寧に真空パック

茨城県北茨城市の平潟港から西へ徒歩6分、同市平潟町の平潟郵便局の向かい側に日置和彦さん(58)が経営する水産加工会社「ヒオキ食品」がある。地元の平潟港や大津港などで水揚げされた常磐ものを加工しており、人気商品は「煮穴子」や「しめさば」。日置さんは「若者の魚離れが叫ばれているが、そうした中で付加価値のある製品を作りたい」と意欲を示した。

同社は前身の近江屋商店として1962年に創業。その後、大手すし専門店の協力会社として、アナゴやサバ、エビなどの加工を担っていた。しかし、同店の倒産を受けて、99年ごろから独自の製品開発と販売を開始した。

扱う魚は、地元で取れたアナゴやイカ、サバ、サンマ、イワシなど。これまでのノウハウを生かしつつ、独自の味を試行錯誤した。その結果、多くの人気商品が生まれた。

このうち、煮アナゴには平潟港で水揚げされたものを使う。下処理では、苦みや臭みの原因となるぬめりを独自の方法で取り除く。

煮汁はしょうゆと酒、砂糖のみで、添加物は使用しない。特にこだわっているのはしょうゆで、同県常陸太田市のヨネビシ醤油(しょうゆ)を複数種類使用する。日置さんは加工する魚によってしょうゆを使い分け、アナゴの味に合った配合にしている。

煮る際には、アナゴを均等に並べる。煮上がった身は崩れやすいため、丁寧に1匹ずつすくい上げていく。完成後は真空パックに詰めて、冷凍する。

出来上がった煮アナゴは、身がやわらかく、骨が気にならず、煮汁が染み込んでいる。頭側は脂が乗っており、尾側は筋肉質であっさりとした味となる。

温めてそのまま食べるだけではなく、だし巻き玉子に入れたり、のり巻きにしたりと、アレンジを楽しむ客もいる。なお、この煮アナゴは2021年の県水産製品品評会で最高賞の農林水産大臣賞を受賞している。

日置さんは受賞を、「アナゴを煮て、真空パックに詰める作業が茨城県ではおそらく初めてのことであり、誰もやっていなかったことに取り組んだことが評価されたのでは」と振り返る。

水産関係の業界は漁獲量の減少や値上がり、若者の魚離れなどにより厳しい状況にある。そうした状況であるからこそ、「今までにない、新しい価値が必要」と日置さんは指摘し、新商品開発に挑戦している。

■お出かけ情報
ヒオキ食品
▽茨城県北茨城市平潟町476
▽営業時間は午前9時~午後5時
▽(電)0293(46)1308
▽煮アナゴが買えるのは、本社直売所、IBARAKIsense(東京都中央区)



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