■欧州の田舎に旅行気分

茨城県結城市結城の「cafe　la　famille(カフェ・ラ・ファミーユ)」は閑静な住宅街に立つ白壁の一軒家。味わいある鉄の門扉をくぐると、カフェと隣接の雑貨店が視界に飛び込んでくる。鮮やかな緑に囲まれた景色はまるで田舎町の小道に迷い込んだよう。オーナーの奥沢裕之さん(56)は「ヨーロッパの田舎に旅行する気分、ワクワク感を出したくて」と教えてくれた。

奥沢さんが飲食の道に進んだのは19歳の時。知人から任されてラーメン屋を立ち上げた経験から、元々関心があった空間づくりを飲食店でも実現できると感じた。和食やフレンチ、ブラジル料理などの店で料理経験を積んだ後、自分の店を開く準備として、8～9年ほど移動カフェで全国を回った。

同じ頃、都内の「AUX　BACCHANALES(オーバカナル)」などフランス風カフェと出合い、「これとキッチュな雰囲気が混ざった店をつくりたい」と考えた。自身が旅したフランス・ブルターニュ地方の町並みも取り入れ、2004年に両親が桑畑として使っていた土地で店を開いた。

料理はフレンチベース。その日仕入れた旬の食材に合わせた日替わりメニューで、県産そば粉を使ったガレットやキッシュ、パスタなどを提供する。自家製ハム、卵、チーズをのせたガレットの王道「コンプレ」は、サクもち食感の生地と具材の程よい塩気が絶妙な一品だ。

敷地内にある300坪超の畑で育てたズッキーニやトマト、レタス、キュウリなどをはじめ、できるだけ無農薬野菜を使っている。

11年に店内を改装し、ステージとバーカウンターを設けた。「ブルターニュの港町にあった劇場が取り壊され、その象徴的なパーツを持ってきた」イメージで造った舞台で、さまざまなジャンルの音楽ライブを定期的に開く。

県内外から訪れる客の目当ては人それぞれ。「料理や接客、空間づくりを全て70点にしたい」と意気込み、それぞれの要素がバランスよく共存する店を目指している。

奥沢さんは、「時季や天気の良い時に、ゆっくりしに来て」と笑顔で話した。

■お出かけ情報
▽茨城県結城市結城911の4
▽営業時間は午前11時半～午後4時、同5時半～9時半
▽定休日は水、木曜
▽(電)0296(21)3559
▽ホームページアドレスはhttps://www.cafelafamille.jp